しかし、このたびEMA(欧州医薬品庁)は、医薬品原薬査察協定・協力スキーム(PIC/S)とともに、EU GMP Annex 15の具体的な改訂案を提案しました。この改訂により、同付属書は任意のガイドラインから、原薬製造業者に対する必須要件へと移行することになります。
施行は2026年12月を予定しており、移行期間はすでに始まっています。したがって、原薬製造業者にとっては、今こそ準備を開始すべきタイミングと言えるでしょう。
改訂後のAnnex 15で期待される内容
改訂されたAnnex15は、原薬製造業者に対して、より高度なプロセス監視、より深い製品理解、およびより強固な管理戦略の維持を促すことで、公衆衛生の保護強化に寄与すると期待されています。バリデーションおよびクオリフィケーション活動を含む製品ライフサイクル全体を通じて、効果的な品質リスクマネジメント(QRM)のツールおよび原則を適用することで、より適切で、十分な情報に基づいた、かつ迅速な意思決定が可能になります。
GMP Annex 15の改訂版では、どのような変更が提案されているのでしょうか?
今回の改訂案では、Annex 15の適用範囲を拡大し、原薬製造業者を全面的に含めることが提案されています。また、その内容を複数の重要分野において更新し、EudraLex第4巻第II部ならびにGDP(Good Distribution Practices:適正流通基準)を含む、原薬に関連するその他の参照文書との整合性をより高めることを目的としています。主な変更内容は以下の通りです。
- バリデーションマスタープラン、クオリフィケーション・バリデーションポリシー、および変更管理を強化し、原薬製造業者によるバリデーション活動の文書化方法を改善する。
- 第三者が行うバリデーションに対する監督が強化され、外部委託活動に対する管理が向上します。
- 受入基準を満たさない結果に対する調査の実施義務が強化され、より深いプロセス理解を支援します。
- クオリフィケーションプロセスの管理を強化するため、URS(ユーザー要求仕様)の活用がプロジェクト初期段階まで拡大され、DQ、IQ、OQ、および PQ というクオリフィケーションの各段階と直接関連付けられます。
- 堅牢な プロセス開発がこれまで以上に重視されるとともに、同時並行バリデーションに関する要求事項がより明確化され、原料および溶媒の回収を含むプロセスバリデーションに関するガイダンスを追加します。
- サプライヤーに対するクオリフィケーションの強化が重視されます。
- 原薬に関するGDPについて、特に輸送検証(トランスポートベリフィケーション)に関するガイダンスが拡充されるとともに、輸送が原薬の品質に及ぼし得る影響の重要性が強調されています。
なぜ今から準備すべきなのか
意見公募期間は間もなく終了し、最終版ドラフトは年内にも取りまとめられる見込みです。そのため、積極的かつ先を見越した準備を行うことが戦略的に重要となります。早期に対応を開始することで、以下のようなメリットが期待できます。
- 新しいガイドラインの施行前に、社内システムを強化できる。
- 直前のコンプライアンスギャップ発生を防止できる。
- プロセスの品質および透明性を向上できる。
- 規制上の期限を見据え、査察対応におけるリスクを低減できる。
PQE Groupでは、この移行を支援するための専門知識とグローバルな経験を有しており、新版のEU GMP Volume 4 Annex 15への完全な適合(コンプライアンス)を確実にするお手伝いをいたします。
出典
EMA / PIC/S, “Concept paper on the revision of the guidelines on Good Manufacturing Practice for Medicinal Products - Annex 15 - Qualification and Validation”: https://www.ema.europa.eu/en/documents/scientific-guideline/concept-paper-revision-guidelines-good-manufacturing-practice-medicinal-products-annex-15-qualification-validation_en.pdf