安定性試験とは何か、なぜ重要なのか?

by: Nicole Ann Piscopo Quality Assurance, Pharmacovigilance Specialist and GxP Auditor @PQE Group

安定性試験

安定性という用語は、製品が推奨される環境下 (製品が異なれば環境も異なるため) で、その完全性を損なうことなしに安定性を維持できる期限として定義される。これは物理的、化学的な変化が生じない事を意味し、製品は工場から出荷後に同じ品質を維持している。 

企業が新しい製品を製造するときには、安定性試験の実施が必要である。これらの試験は、(その成分が劣化することのない)有効期限と製品の適切な保管条件を決定するために行われる。翌年以降、毎年一つのバッチが、強さ別に選定され、安定性が確認される。これは、現在の品質をモニターして、製品がマーケットにある間は、それが仕様に適合していることを保証する。そのような試験は、医薬品、食品、飲料、化粧品およびパッケージについて実施される。

この論文は医薬品に対して行われる安定性試験について述べるものである。 

 

Stability Study_Site PQE

外的要因

安定性試験の実施の際には、製品への影響があると考えられる外的要因も考慮される。外的要因の例としては、光、熱、湿度、温度等がある。実施される安定性試験は、製品に対してこれらの要因がどの様に影響するかを明らかにして、理想的な保管条件、有効期限、包装を決定する。安定性試験を実施するために、企業はICH 安定性試品質ガイドラインQ1A(R2)に従う事が求められる。これらのガイドラインは、安定性試験の実施時に何が必要か極めて詳細な概要を提供し、それは期間、分析要件、得られた分析データの評価、仕様などを含む。

過度な期間の延長、または製品が極端な保管条件下での保管、その物理的、化学的および微生物学的特性は影響を受けるだろう。これが、有効期間を通じて製品品質を保証するために、安定性試験を行う主な理由である。安定性試験の開始以前に、適切な試験プログラムの作成が必須である。 

安定性試験プログラム 

このプログラムは、製品のラベルに記された有効期限内は製品の全ての安静性特性が安定した状態であることを保証するために作成される。このプログラムにおいて、適用されるテスト間隔とともにサンプルサイズ(最低限3バッチ)が記述される。試験に使用されるバッチは同一の処方であり、同一の容器包装システム(梱包)を使用する必要がある。安定性試験の際に特に重要なことは、実施時期が厳守されることである。例えば、もし製品が9カ月の間にサンプリングされ、試験されるならば、この期限を守る。保管条件および検証された方法の資料などはプロトコル/プログラムに含める必要がある。試験作業の全ての記録は、規制当局によるレビューに備えて適切に保管する。

どの様に安定性モニタリング計画を作成するか? 

安定性モニタリングおよび試験は三通りのやり語りで実施可能; それは、製品の物理的、化学的および微生物的特性の確認によって行われる。物理的確認は製品の外観、水分保持量、崩壊特性、分解特性、PH値の変化および製品の粘度の変化(これ以上の試験も必要に応じて追加)である。化学的確認は、関連する成分分析および構成成分について、劣化した不純物の特定も含む。

微生物の確認は、主に病原性の微生物の発生を確認する。製品が吸入器のような器具を用いて使用される場合、その機能も合わせて検証される。安定性試験で称されるデータは、多量であることが必要である。実施される安定性試験の主なタイプの二つは、リアルタイム安定性試験と加速安定性試験である。 

リアルタイム安定性試験とは何か?  

リアルタイム安定性試験は、外装に記載される推奨条件に従って保管される製品について実施される。製品がまだ仕様の範囲にあるか否かを確認するために、製品に対して継続的確認が実施される。その様な試験は、製品が不合格になるまで実施される; 仕様に適合しなくなると、有効期限が決定される。 

ICHのガイドラインに準じて、製品は初年度に3カ月間隔で4回試験される。(3, 6, 9, 12カ月) 初年度を過ぎると、翌年は6カ月間隔で2回試験が実施され、それ以降は年に1回、不合格になるまで続けられる。不合格の結果が出た場合、それ以上の試験は実施されず、得られたデータは製品の有効期限がどの程度か決定する評価が行われる。 

加速安定性試験の重要性とは何か? 

加速安定性試験は、目的の製品が、過度の温度や湿度などの過剰な条件化で保管されるときに実施される。これは製品に対するワーストケースのシナリオを設定するために行われる。温度と湿度が管理するために、安定性チャンバーが用いられる; 大量の製品で安定性試験を実施する場合には、企業はウォークイン型の安静性試験室を設けることもある。それも目標とする設定値に合うように厳密に管理され、保守される。 

安定性チャンバーが検証され、両行に保守されていることは必須である。その温度と湿度のレベルが常にデータロガーモニターされ、必要な条件が製品に適用されたことを保証するために、異常値が検出されるとアラーム通知が特定の人々に送信される。

試験の時間間隔は、加速された条件では最低でも6カ月である。例えば、40℃/75% の相対湿度(RH)の条件で保管される製品が6カ月間安定的した状態ならば、24カ月までの有効期限を与えられる。

それによって、試験から得られた情報を元に、保管条件が決定される。加速安定性試験は、温度の逸脱の場合に非常に有益である。例えば、輸送中に温度の逸脱があり、製品が40℃の温度に晒されたときに、高温に晒された時間によって製品品質が損なわれるかどうか、安定性データを確認する。 

安定性試験を完了する前に、結果のトレンド解析が必須である。結果のトレンドが確認されるとき、レビュワーは試験によって得られた全体結果の明確な概要を把握できる。この様にして、分析データのレビューにおいて、抽出されたデータの異常なトレンドを容易に特定するとが可能となる。

安定性試験の実施は、有効期限が適切に決定されることや、製品の性質に基づく適切な保管条件を確認し、試験は一層の製品開発に寄与する。現在市場で売られている製品の安定性試験(保存サンプルの試験)も製品の有効性と完全性の継続的なモニタリングを確実にするために重要である。何にも増して、最も重要な視点は製品品質が管理されていることである。 

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