動物用医薬品ファーマコヴィジランスシステム - 求められる新たな安全管理体制
動物用医薬品の安全管理基準(Veterinary Good Vigilance Practice;VGVP)の導入に伴い、医薬品製造販売企業ではそれに対応できるQMSの強化が求められています。この新たな安全管理基準に自らのQMSが、当初の期待通りに対応でき、機能しているのか、継続的な改善への監視・見直しを日頃実施してゆく必要があります。
体制評価のツールとしてのファーマコヴィジランス監査
定期的な監査又はリスク評価 を実施する中で、社内または社外機関による、監査計画に言う監査実施の頻度を戦略的、戦術的、運営の観点から決定することができるようになります。自社によるファーマコヴィジランス活動や提携先や出先の医療機関を含む第3者機関に対する監査を実施するためにリスク評価を行う必要があります。更に、ファーマコヴィジランス体制への監査を実施することにより、自社で設定したQMSの基準、方針、手続きや手順が遵守されているかを確認することができます。この監査計画には、自社だけでなく、ファーマコヴィジランス実施責任を有する提携先やエージェント、その地域を担当する代理人を含む、ファーマコヴィジランス活動に関わる全ての第3者機関を包括しなければなりません。
模擬査察による準備状況の確認
定期的にQMS体制への模擬査察を実施して調査を行うのは、査察への準備状況を把握するうえで重要になります。模擬査察を実施することで、QMSに携わる人員が、日頃から緊張感をもって準備を怠らなぬよう職務に当たるための啓蒙となるだけでなく、QMS体制の有効性を評価することも可能になります。
QMS体制評価のツールとして設定するKPI
よく練られて設定したKPI(重要業績評価指標)は、KPI自体の理解だけでなく、調査する中で洗い出される問題点を端的に把握させ、問題の程度の計測や解釈に加え、再現性や問題把握の感度も高めることができます。KPIの設定によって、現状のQMS体制の強み、弱点、成果、成長・影響の度合いの把握も可能にさせます。更に、報告書内容の質、報告書提出タイムラインの進捗をモニターし、ファーマコヴィジランス活動関連QMSの業務評価を行うことができます。この評価で得られた結果は、今後QMSプロセスにどのような改善が必要かを見極め、動物衛生に欠かせない自社製品の適正な安全管理を担保してゆくのに役立つでしょう。
改善を後押しするCAPA
監査で示された指摘事項に対する是正措置・予防措置プラン(Corrective and Preventive Action;CAPA)及びKPI評価は、 自社のファーマコビジランス体制及び第3者機関における継続的な業務改善を後押します。そこで得られた課題への取り組み計画とその実行する変革の有効性を継続的に監視・評価することで、QMS体制の適切な維持が可能となります。
関連文献
COMMISSION IMPLEMENTING REGULATION (EU) 2021/1281 of 2 August 2021 laying down rules for the application of Regulation (EU) 2019/6 of the European Parliament and of the Council as regards good pharmacovigilance practice and on the format, content and summ. (2021). Bruxelles: Official Journal of the European Union.
EMA/595115/2021 Guideline on veterinary good pharmacovigilance practices (VGVP) Module: Pharmacovigilance systems, their quality management systems and pharmacovigilance system master files. (2021). Amsterdam: EMA.
REGULATION (EU) 2019/6 OF THE EUROPEAN PARLIAMENT AND OF THE COUNCIL of 11 December 2018 on veterinary medicinal products and repealing Directive 2001/82/EC. (2019). Bruxelles: Official Journal of the European Union.
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