目的:無菌処理製造におけるアイソレーターの利点を、アクセス制限バリアシステム(RABS: Restricted Access Barrier System)と比較し、バイオ医薬品の無菌製造設備が既存のRABS機器を廃止し、将来の厳格なGMPの無菌処理基準に対応できるよう、アイソレーターユニットに置き換える必要性を示す。
結果:EU GMP Annex 2:ヒト用生物学的医薬品の製造では、新たに無菌製品のバイオバーデン(微生物汚染)に関する要求が導入された。この規制の更新と進化により、無菌製造企業は、将来の規制基準に適合するために、古いRABSを廃止し、無菌処理設備を準備する必要性が高まっている。
影響:アイソレーターの設計は、製造プロセス中に人間の介入を排除することができる。一方、RABSの構造には限界があり、設計がどれほど進んでいても製造プロセスでの人間の関与を排除することができない。その結果、アイソレーターを使用した無菌製品の製造は、運用面で安全性が高く、製品処理中に発生する可能性のある有害事象や製品の汚染のリスクを大幅に軽減することが出来る。
方法:無菌製造設計の第一目的は、可能な限り生物学的製剤が処理中に汚染物質に暴露されることをなくすことである。現在、RABSとアイソレーターは、生物学的無菌製剤の最終製品の充填・仕上げ工程において選択される設備である。無菌プロセスは、ほとんどの過程で必要とされる。これは無菌生物学的製剤の大部分が熱に対して耐性がなく、最終製品を高温で滅菌することができないためである。
欧州薬局方(EP)の第2.6.1章や米国薬局方(USP)の<71>には、注射用医薬品の無菌試験要件について詳述されている。無菌製造仕様を満たすためには、製造過程で製品が外的な汚染源にさらされる時間を最小限にする必要がある。これは、最高レベルのクリーンルームや環境管理基準を守り、無菌製造プロセス中にできるだけ人間の関与を排除することにより達成される。